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ブラジル「リオ五輪後」の阿鼻叫喚

東京が学ぶべき「反面教師」

2017年9月号

 昨年の夏季オリンピック開催から一年を経たリオデジャネイロで、五輪期間中だけ抑え込んでいたギャング団抗争が完全復活している。七月中旬には、リオの国際空港と市内を結ぶ高速道路上で、犯罪組織と武装警察の激しい銃撃戦が起こった。市民を恐怖のどん底に突き落とすような事件が相次ぎ、観光客は激減している。
「流れ弾の犠牲者は一日三人」。
 地元紙が報じる「非常事態」は、わずか一年前にここでスポーツの祭典が開かれたことが幻だったかのような凄惨さで進行している。
 背景にあるのは、サンパウロ拠点の「首都第一コマンドー(PCC)」とリオ拠点の「赤いコマンドー(CV)」という、ブラジルの二大犯罪組織のギャング団抗争だ。これを鎮圧しようとする武装警察との間で三つ巴の、重武装の戦闘が日常的光景になってしまった。警察官の犠牲者は今年だけで九十人を超えて、「ベトナム戦争時の米兵より死亡率が高い」(リオ地元紙)と評される。「警官射殺事件」が頻繁に報じられる米国でさえ、今年の死者は二十人超だから、リオのギャング団抗争の無軌道さが分かるだろう。

巨額贈収賄事件がぞろぞろ・・・