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経済

「地銀再編」を 封印した金融庁

森信親長官「場当たり行政」の無様

2017年9月号

 今や、霞が関で「泣く子も黙る」とまで言われる実力官僚がいる。金融庁の森信親長官だ。この七月、三期目という長期政権に突入した。金融庁では過去、四期まで果たした長官はなく、森体制は仕上げの最終年度になる。「ワンマン長官」とも言われる森氏はいかなるラストランに向かっているのか。
 森体制の三期目が始まった直後の、七月中旬のことだ。地銀業界が全国のトップを集めて毎月開催する会合に、森氏が局長など幹部たちを引き連れてやってきた。地銀と言えば、森氏が長官就任直後から業界再編の圧力を掛けてきた領域だ。実際その圧力を受け、この二年間に経営統合を決断する地銀が次々現れた。
 そんな森氏だけに、地銀トップたちは、この日もいかなる圧力を掛けてくるのか、固唾を呑んで見守った。その心境をある中堅地銀のトップは「経営統合問題をさらに加速させるような話と思い覚悟していた」と表現する。ところが講演に及んだ森氏が、その種の話を持ち出すことはなく、参加者は拍子抜けしたという。
 もちろん厳しい発言も、あるにはあった。締めくくりは次のような言葉だったという。
「悲惨な結果にならない・・・