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習近平「終身独裁」に増す現実味

北戴河会議で「長老封じ込め」に成功

2017年9月号

 中国共産党の激しい権力闘争の舞台としてよく知られる「北戴河会議」―毎年八月の前半、河北省北戴河に集まる党中央政治局メンバーと党長老たちによる非公開の会議が静けさの中で終わった。
 今年は、秋に開催予定の共産党第十九回党大会にかける政治報告素案や次期党指導部人事が議題になるはずだった。独裁を強める習近平国家主席とそれに反発する党長老の暗闘を誰もが予想していた。
 だが八月十七日、習近平が北京で米国のダンフォード統合参謀本部議長と会見して北戴河会議の終了が明らかになった後も、北京の街角にはこれといった情報は流れてこなかった。
 その疑問に香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が答えた。「今年はある人物が全局を掌握して老人政治が雲散霧消したため、北戴河で人事調整の会議はなかった」。ただし、「私的な個別会談があったかは承知しない」―。
 サウスチャイナ紙は英領香港時代から続く名門英字紙だが、今はネット通販大手「アリババ」会長の政商、馬雲(ジャック・マー)に買収された結果、時々ディープな北京情報を報じている。事実とすると、習近平は今年の北戴河で次期・・・