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韓国は当然「核武装」する

李相洙(スウェーデン安全保障開発政策研究所上級研究員)

2017年9月号

―北朝鮮の核・ミサイル開発に対して、米韓の対応をどう見ますか?

李 金正恩委員長が「米国の様子を見守る」と語ったことで、米朝対話の可能性が出たと考える人もいた。私はそれほど楽観的ではない。今の米政府が何をもって、北朝鮮の譲歩を引き出すつもりなのかが分からないからだ。
 韓国の文在寅大統領は就任直後から北朝鮮に対話を呼びかけ、南北対話で緊張を和らげようとしている。韓国が提供できるのは経済協力だが、北朝鮮経済はかなり改善していて、対話に応じる誘因は乏しい。今の韓国政府には現時点でも短期的にも、この問題を解決できる力はない。北朝鮮の核・ミサイル開発のスピードからいって、日米韓にとって長期的にはさらに厳しい状況が待ち受けていると思う。

―どんなシナリオが予想されますか?

李 そもそも金正日政権の時代には、核兵器開発自体が交渉可能だった。当時の北朝鮮は、条件次第、たとえば巨額の経済支援を得られるなら、核開発をやめてもいいという姿勢だった。現在の金正恩政権・・・