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急転「米朝対話」はありうる

「トランプの背信」で日本孤立の危機

2017年10月号

 北朝鮮の核兵器、弾道ミサイル開発が急ピッチで進む中、安倍晋三首相の「圧力強化」政策が、危険水域に入っている。北朝鮮のみならず安倍首相をも煽る米トランプ政権が、「対話政策」に突如転じて、日本を孤立させる恐れがあるばかりか、ミサイルのさらなる日本上空飛行など、北朝鮮の新たな挑発を招く可能性も大きい。
 北朝鮮の急激な核開発によって、「交渉による核開発断念」という期待はもはや完全な幻想になっており、米安保当局者の間では、「北朝鮮の核兵器をどう抑止するか」に力点が移っている。「トランプの裏切り」はいつ起こっても、おかしくないのである。

ブッシュ政権で背信の「前科」

 米ミドルベリー国際大学院の軍事専門家、ジェフリー・ルイス氏は、米国の対話路線への転換について「もちろんその可能性はある。ほかに手段がないからだ」と言う。ルイス氏は、「トランプ大統領の発言は前任者たちより遥かに過激だが、それ以外の持ち駒がない点は同じだ」として、クリントン政権やブッシュ政権のように、「交渉に活路を見いだすように追い込まれても、何・・・