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政治

北朝鮮「核容認論」を政府が極秘検討

トランプの「裏切り」に備えて

2017年10月号

 日本が「北の核」を最終的には追認する―。こうした予測を荒唐無稽だと言って切り捨てられない局面を、我々は迎えつつある。安倍晋三首相が米国と連携して核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への圧力強化を主張し、国際社会に「対話のための対話は意味がない」と訴える裏で、政府は北朝鮮を核兵器保有国として認めることになる核軍縮・不拡散交渉に乗り出すべきかどうかの極秘検討に着手している。
 背後に横たわるのは「米国が圧力路線を断念し、北朝鮮と核軍縮・不拡散交渉入りで電撃合意した場合、間髪入れずに同調しないと日本は孤立する」(官邸筋)との不安感。万一米国に対北朝鮮戦略の歴史的転換を図られても、米国とはぐれないように頭の体操をしておこうというのが交渉検討の狙いだ。
 北朝鮮がチキンレースに根負けした米国を交渉の席に引っ張り出す可能性は、十分にあるとささやかれている。日本政府代表が多国間協議の場で、米朝合意を通じて核兵器保有国としての地位を射止めて高笑いする北朝鮮の当局者と、こわばった表情で握手する場面が現実味を増しているのは間違いない。

日本が取り残される不安感・・・