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経済

JAL「エンジン炎上事故」連発の恐怖

「利益最優先」危うい社風が真因

2017年10月号

 禍福に門なし―とは、日本航空(JAL)のことを言うのだろう。本誌九月号で報じた通り、羽田発伊丹行きの全日本空輸(ANA)37便が機体トラブルにより羽田空港へ緊急着陸したのは、あの“御巣鷹の日”の八月十二日だった。それも束の間、御巣鷹山事故の当事者までANAの愚轍を踏み、同様の失態を演じたのだ。

なお残る稲盛名誉顧問の呪縛

「いや、同様ではない。同じ緊急着陸でも事態はJALの方がはるかに深刻だ」
 ある航空関係者がこう指摘するトラブルは九月五日、羽田発ニューヨーク行きのJAL6便の離陸時に起きた。左翼エンジンに不具合が発生、洋上で余分な燃料を捨てたあと、羽田空港へ緊急着陸した。離陸時に機材のB777のエンジンから出火が確認されており、JALは当初、原因はバードストライクと軽くみていたのだ。が、エンジンに鳥の死骸はなく、後部の低圧タービンに損傷が発見されるに及んで、国土交通省は「重大インシデント」に認定した。
 現在、運輸安全委員会による調査が進められているが、翻って・・・