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経済

トヨタ「燃料電池車」が新規需要ゼロに!!

すでに消滅「ミライ」の未来

2017年10月号

 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の受注残が解消され、納期が通常の乗用車と同じ一~二カ月程度に短縮されたという。トヨタが世界初の量産FCVとして二〇一四年十二月に発売したミライだが、当初、一日わずか三台しか出荷できない生産性の低さから、その納期は発売から一年も経過した一五年十二月時点ですら一九年以降となっていた。トヨタ関係者は「今年度にミライの生産体制を年間三千台程度に増強したため、納期待ちを二年も前倒しできた」と胸を張る。しかし、実態は全く違うという。
「官公庁や環境保護団体、エコロジー企業などによるミライの初期需要が一巡しただけ。一般消費者からの新規需要はほとんどなく、生産量も当初の日産三台レベルに逆戻りするのではないか」と、エコカーの動向に詳しいシンクタンク研究員はみる。事実、ミライの世界販売は一七年七月末までの累計で三千八百五十七台だが、一五年十二月時点で累計受注は三千三百台を超えており、それからの一年九カ月間で五百五十台の新規受注だったことになる。月平均では、わずか二十六台程度の受注でしかない。しかも世界全体でだ。国内販売も「一六年末時点で・・・

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