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米国で「日本核保有論」が台頭

トランプが変質させる「同盟関係」

2017年10月号特別リポート

 トランプ米大統領が九月十九日の国連総会演説で「米国には強大な力と忍耐力はあるが、自国や同盟諸国を守らざるを得なくなったら、北朝鮮を完全破壊するよりほかの選択肢はない」と吠えれば、金正恩朝鮮労働党委員長は「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する」と異例の委員長声明で応じる。最高指導者が互いに相手を「ロケットマン」とか「老いぼれの狂人」とやり合う中で、米国の一部に台頭しているのは日本、韓国核武装論だ。
 ポピュリズムの風に乗った形で登場した「トランプ現象」を背景としているだけに、北の経済の四十倍にあたる韓国、百倍の日本をなぜ米国が守らなければならないのかと主張する孤立主義者パトリック・ブキャナン氏の主張は俗耳に入り易い。トランプ大統領自身が昨年の大統領選挙キャンペーンで同様の見解を公にしたではないか。北は国内総生産(GDP)の二五%を国防費に充てているのに韓国は二・六%、日本は一%以下だとのブキャナン氏の指摘は、少なくとも通常兵器に関しては防衛圧力となってすでに米政府から日韓両国に加えられている。トランプ大統領が同じ国連演説で危険な国家として取り上げたイランによる核への・・・