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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》共同通信「平壌支局」

北朝鮮を不当に潤す「名ばかり取材拠点」

2017年10月号

「平壌支局は本日も通常営業。スクープを飛ばすことはない。しかし問題視されることもない」
 共同通信の外信担当のベテラン記者はこう語る。世界中の目が北朝鮮情勢に向けられている中、かの国の報道は米国など他国への憎悪と偏向に満ちている。本来であれば客観性を担保すべき外国メディアは、北朝鮮当局の強力な監視下に置かれて機能していない。そもそも、北朝鮮に支局を置く外国メディアはほんの数えるほどだが、その中にわが国の共同通信社が含まれている。
 開設から十年以上が経過した共同通信平壌支局の役割に今、重大な疑問符がついている。閉鎖の噂も出ている同支局の最新事情や、闇に包まれた開設までのプロセス、「金正恩への上納金」(共同関係者)とも称される運営費、はたまた最近の共同社内における平壌支局を巡る綱引きをひもとこう。

完全監視下で独自取材は皆無

 平壌市内中心部にある北朝鮮最大の報道機関、朝鮮中央通信。この本部ビルの一室に共同通信は入居している。カメラやパソコンなどの機材が置かれ、「地方の小支局程度の規模」(前・・・