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トルコ「NATO脱退」に現実味

ロシア・イランと「反米欧」で結託

2017年11月号

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコが、外交軸を大きく東に旋回させている。西側の盟主である米国とは、在トルコの米総領事館職員を拘束したことで一気に緊張を高め、両国のビザ(査証)発給停止に発展した。その一方で、ロシアのミサイル防衛システム「S400」の購入を決めるなど、NATO加盟国としてはありえない措置を次々と導入して、ロシアに接近している。
 トルコとロシアの緊密ぶりを示したのが、十月八日のトルコ軍のシリア越境だった。シリア内戦では、和平を話し合う「アスタナ会議」で、ロシア、イラン、トルコが「緊張緩和地帯」を作ることで合意していた。
 十月のトルコ軍越境では、「緊張緩和地帯」の一つとされた北部イドリブ県で、以前から同地方に展開していたロシア軍が「露払い」をするように、周辺の反トルコ民兵組織を一掃してトルコ軍を迎えた。同地方にはトルコ系の「トルクメン人」が多数居住することから、エルドアン大統領は「トルコの勢力圏」であると米国に訴えていたが、認められなかった。米国に拒否されたことを、ロシアのプーチン大統領が認めたのだ。

「外交クーデターと呼べるほど」・・・