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連載

西風438

「三宮再開発」で巻き返す神戸

2017年11月号

 衆院総選挙と同日に兵庫県の神戸市長選挙が行われ、現職の久元喜造氏が圧勝した。今回の市長選の争点の一つは神戸の玄関口である三宮の再開発だった。神戸市は一九九五年の阪神・淡路大震災以降、復旧、復興に追われて、都市の魅力を増すための投資は後回しにされてきた。震災関連事業に費やされた市債発行額はピーク時に一兆三千五十三億円に達した。
 その間に大阪市は「グランフロント大阪」や「あべのハルカス」などの再開発を進めて集客力を大幅に高め、京都はインバウンド需要を取り込んで国際観光都市としての地位をさらに盤石にした。
 三宮の再開発は、取り残された神戸が都市の魅力を取り戻すために急務なのだ。二〇一六年末には市債発行残高を約二千億円にまで減らし、やっと財政的なゆとりが生まれている。
 久元市長らは、一五年九月に三宮周辺「再整備基本構想」を策定した。構想はJR三ノ宮駅を中心に半径五百メートルの歩行者優先エリアを設けるというもの。歩道を広げて道沿いにオープンカフェや商店を並べ賑わいをつくりだす。
 神戸市の担当者は「大都市の中心部に、ここまで歩行者優先のエリアをつく・・・

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