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政治

《罪深きはこの官僚》奥田哲也(国土交通省自動車局長)

日産不正問題で「省益確保」を優先

2017年11月号

「日産は国土交通省を舐めていた。だから、社長が謝罪をした後も、のうのうと同じことをやり続けたんだよ」
 経済紙記者は日産自動車の監督官庁への姿勢についてこう言い放つ。昨年、燃費偽装に揺れた三菱自動車に救いの手を差し伸べた日産で発覚した今回の問題。両者に共通しているのは、長年にわたって不正が続けられていた点と、どちらも国交省が所管する「規制」についての違反行為だったことだ。経済誌記者が語る。
「自動車業界にとって重要なのは経済産業省。メーカーは国交省など歯牙にもかけていない」
 代表例は、トヨタ自動車に天下りして副社長まで務めた経産省OBの小平信因だろう。歴史的にみても産業振興や通商交渉などを通じて、経産省と自動車メーカーは緊密に連携している。
 国交省は九月十八日以降、突如として日産の全国の工場で抜き打ち検査を始めた。一部報道によれば日産社内からの告発があったとされているが、季節はずれの立ち入り検査は「不正の存在を確信したものだった」(国交省担当記者)。
 監督する自動車局の局長は奥田哲也。十月二日に西川廣人社長が謝罪会見した後も、日産・・・