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経済

関西電力にまた「原発全機停止」の危機

住民訴訟が問う「北朝鮮リスク」

2017年11月号

 国民の審判に“それ”が供されることは、ついになかった。
 自民党は北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威を訴え、希望の党は脱原発の目標を掲げたが、両者に関わるそれは争点にならないまま、衆議院選挙は自民党の圧勝に終わった。しかし、本誌が刊行された十一月一日も、大阪地方裁判所ではそれをめぐる第三回審尋が行われているのだ。事態は反原発弁護士の獅子吼から始まった。
「国が公式に認めた危険が現に存在する。だから、地下鉄や新幹線を止める前に、まず原発を止めろということだ」
 河合弘之氏ら原告側弁護団は七月六日、東京・霞が関で記者会見し、北朝鮮の弾道ミサイルに被弾する危険があるとして、関西電力の高浜三号・四号機(福井県)の運転差し止めを求める仮処分を、大阪地裁に申し立てたことを明らかにした。同席した申立人は、高浜原発から八十キロ離れた大阪府高槻市に住む水戸喜世子さん。八十一歳の高齢ながら矍鑠とし、放射線物理学者だった亡夫とともに一九六七年の「羽田闘争」にも参加した、反原発の闘士だ。
「また河合弁護士お得意の仮処分攻勢か…&hel・・・