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経済

《クローズアップ》西川廣人(日産自動車社長)

危機拡大させる「ゴーンの下男」

2017年11月号

 国の定める完成検査が適切に実施されていなかった問題で、ついに出荷停止に追い込まれた日産自動車。十月二日に「再発防止策を講じた」と発表したばかりの西川廣人社長が、十九日に「問題発覚後も四工場で無資格検査を続けていた。再発防止策を信頼していただいた皆様に大変申し訳ない」と、再び謝罪することになった。
 西川氏は謹厳実直と評価されるが、「従来通りのやり方を従来通りにやる、典型的な東大卒の能吏タイプ」(日産関係者)。カルロス・ゴーン会長という強力なリーダーの下ではいかんなく実力を発揮するが、率先して組織を変革するタイプではない。ゴーン社長時代に派手なコストカットや新ラインの立ち上げなどが非常に高く評価される一方で、それまで重視された地味なカイゼン活動がほとんど評価されなくなった。「西川社長もその片棒を担いだ一人で、それが生産現場の不祥事につながった」と、日産の国内生産現場に関わる取引企業幹部は指摘する。
 ゴーン会長に引っ張られた外国人幹部からの評判も芳しくないという。「長期的なビジョンがなく細かい数字で管理しようとするうえ、最終的な経営判断はゴーン会長に依存しているため・・・

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