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連載

西風439

観光資源が眠る「滋賀の逆襲」

2017年12月号

 京都市と大津市などからなる協議会が、来年三月二十九日から「琵琶湖疏水クルーズ」の本格的運航を開始することが発表された。これに並々ならぬ期待を寄せているのは、大津市と滋賀県だ。
 琵琶湖疏水は大津市三保ヶ崎から京都市蹴上を結ぶ全長七・八キロメートルの人工水路。途中、三本のトンネルがあり、暗闇を抜けると春には桜、秋には紅葉に包まれる。これまでの京都観光とは一味違う観光スポットだ。
 琵琶湖疏水は明治二年に東京に遷都されて以来、寂れる一方だった京都の復興を願い建設された。明治十八年に着工、五年後に完成。設計から建設まで、日本人だけで完成させた初の西洋式土木事業の遺産としても知られる。
 両市では二〇一五年から疏水のトンネルの安全性を確認する運航を続けてきた。今年は十二人の乗客が乗れる遊覧船二隻を新造。来年は年間八十二日間運航する。一日当たり大津から京都へ向かう五便と京都から大津に向かう四便の計九便を予定。運航は琵琶湖汽船、営業はJTB西日本が担当する。
 琵琶湖疏水クルーズは、世界的な観光都市の地位を不動のものにしている京都市にとっては「毛色の違うア・・・