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経済

伊藤忠と三井物産「二位争い」の混沌

好調商社それぞれの「アキレス腱」

2017年12月号

 雨過天青の青―。きっと伊藤忠商事の岡藤正広社長は、雨上がりの雲間から現れた青空のように、爽快な気分だったに違いない。
「三菱、三井はこの八年間に四勝四敗。一方、伊藤忠は八戦全勝であります」
 十一月六日、今年度上期の決算説明会に臨んだ岡藤氏は、社長就任の二〇一〇年四月から現在まで八年間の五大商社の株価変動率を図示して、こう言い放ったのだ。すなわち、俺は社長になってから毎年株価を上げてきた、その間、米国の空売りファンドの中傷とも戦ったが、資源価格に右往左往する財閥系二社の株価は上がったり下がったりで、俺の半分しか勝てていないではないかと―。この発言に、神経を逆撫でされたのが三井物産である。両社の株価は真逆の値動きをしていたからだ。
 四日前の同二日、揃って発表された両社の連結業績は好調だった。とりわけ、三井物産は鉄鉱石と原料炭の市況回復を受け、今年度通期の純利益予想を期初の三千二百億円から四千億円へ大幅に引き上げた。過去二年、後塵を拝してきた伊藤忠商事に並び、首位・三菱商事に次ぐ総合商社二位の純利益レースに復帰したのだ。
 しかし、この日、伊藤忠・・・

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