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経済

《企業研究》星野リゾート

顧客が離れる「肥大化」の弊害

2017年12月号

 十一月三日夕方の東京・大手町。その女性は淡いピンク地にダークレッドの花柄をあしらったワンピース姿で会食の場に現れた。イヴァンカ・トランプ―。前日二日に初来日したドナルド・トランプ米大統領の長女で、大統領補佐官も務める。
 招待したのは首相の安倍晋三だ。十月三十日に三十六歳の誕生日を迎えたイヴァンカへの祝意をも兼ねた非公式夕食会で、駐日米国大使のウィリアム・ハガティ夫妻や駐米特命全権大使の佐々江賢一郎らも同席。日本の食材をふんだんに使ったフランス料理にひとしきり舌鼓を打った。
 そんな日米親善の舞台となったのが「星のや東京ダイニング」。都心のオフィス街という、鉄とコンクリートに覆われた無機質な空間に昨年七月登場した異色の高級日本旅館「星のや東京」。その地下にあるレストランだ。
 料理長は「料理オリンピック」とも呼ばれ、二年に一度の奇数年に仏リヨンで開かれる世界最高峰の料理コンクール「ボキューズ・ドール」で日本人初の三位となった浜田統之。
 そしてこれら一連の施設の運営に当たっているのが、いまや日本最大級ともいえるリゾート運営会社にまでのし上がった・・・