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サウジ「アラビア半島統一」の野望

中東乱す「危ない皇太子」の暴走

2018年1月号

 GCC(湾岸協力会議)は、一九八一年に、イラン革命後の神権政治の影響がアラビア半島に及ぶことを警戒した諸国によって結成された、軍事同盟の側面を併せ持つ地域機構である。これを構成する六カ国は「産油国」「君主制」「スンニ派アラブ」という共通項で結ばれていて、傍目にも一体感がある。この間、大きな軍事的脅威がなかったこともあり、主にEUをモデルとした経済統合を進めてきた。その結果、二〇〇三年には統一関税法を制定するなど、域内の貿易・投資は促進され、共通通貨の発行も俎上に載っている。
 ところが一七年六月、サウジアラビアはUAE(アラブ首長国連邦)、バーレーンと組んで、カタールと断交した。この突然の措置は、人、モノの一切の交流を断ち、航空機や船舶の領域通過も認めないという過酷なもので、この日以来、GCCの共同歩調もまた、完全に止まっていた。しかし、長老格・クウェートのサバハ首長の地道で熱心な仲介努力が功を奏して、一七年十二月五日、設立から数えて第三十八回目となる定例首脳会議が開催されることとなった。「開催が危ぶまれていた会議が開かれる。もしかしたら解決に向けた動きが出るのではないか?・・・