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「台湾統一」を焦る習近平

見えてきた「武力併合」の筋書き

2018年1月号

 第二次習近平政権に入った中国から「台湾武力統一」のシグナルがちらつきはじめた。
 二〇一七年十二月、米上院で成立した「二〇一八会計年度・国防権限法」にトランプ大統領が署名し、新年度国防費の枠組みが決まったが、今回の権限法の中に台湾防衛を強化する提案が書き込まれていた。これに対し、中国の李克新・駐米公使は署名直前まで、「米中開戦」につながりかねないと何度も警告した。中国が台湾問題で米国を非難することは珍しくないが、今回の公使発言が注目されたのは米中開戦に至るプロセスが示されたことで、中国側の開戦準備体制の一端が見えたからだ。

「反国家分裂法」の発動

 国防権限法に書かれた台湾関連提案とは、米軍艦の台湾寄港再開の可能性を検討すること、台湾軍を米軍事演習へ参加させること、米台高官交流の復活、新型兵器供与など計七項目に及んだ。
 提案には強制力はない。だが、大統領が署名したことで台湾防衛へ踏み込む米国の意思は明確になった。台湾の立法院では李大維外交部長が「米国議会の(台湾の安全保障への)支持に感・・・