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政治

安倍政権を揺るがす「司法」

東京地検「覚醒」で総裁三選に暗雲

2018年1月号

 首相安倍晋三が政権の座に復帰を果たして丸五年が経った。安倍は政権復帰の二〇一二年衆議員選から数えて、衆参合わせて四回の国政選挙で大勝を果たした。ますます「安倍一強」の地盤は強化された。そこで迎える一八年九月の自民党総裁選―。どこから見ても安倍の三選は動かないようにみえる。確かに一八年度の与党税制改正大綱の決定過程を見れば、官邸主導は誰の目にも明らかだった。最大の焦点だった会社員の給与所得控除をめぐって自民党税制調査会と財務省の調整で年収八百万円超の会社員を増税の対象にしたが、土壇場で八百五十万円超に修正された。「八百万円超は早い段階で自公の間の話がついていた。ところが官邸が公明を利用する形で八百五十万円超にした」「公明党が都市部の中間層への配慮を求めた結果」(自民党幹部)とされているが、この五十万円の修正に合理的な理由はない。対象の人数もゼロコンマ以下の話で大勢に影響はないからだ。
「税制も官邸が仕切る。これが今回の政治的メッセージだ」(自民党税制調査会幹部)
 従来の税制大綱の策定は財務省と党税調の間でキャッチボールをしながら議論を収斂させてきた。党税調の権威は・・・