三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

勝負師「孫正義」に衰え露わ

米通信子会社「処分失敗」の重い代償

2018年1月号

「まあ、迷いが終わった後というのはすっきりしたもんですね。まさにこの合併交渉停止というのは重要な意思決定でありました」
 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は二〇一七年十一月六日の第2四半期決算説明会で、同社米国子会社の携帯電話四位スプリントと同三位TモバイルUSとの合併破談についてこう語ってみせた。だが、この先スプリントが長年にわたり、ソフトバンク本体の資本効率を下げる要因となることは疑いようがない。
 近年のソフトバンクの問題点を端的に表す指標は、総資産営業利益率だ。同社は二〇一三年三月期の一一%から一七年三月期には四・一%まで落ちている。周知の通り「借金と買収」を次々に繰り返し、同期間に純有利子負債は四・九倍に膨張し、資産は三・四倍となり、結果的に売上高は二・八倍となったが、営業利益はたったの二八%増でしかない。円安がなければ利益は横ばいだ。まさに図体だけが大きくなったということ。株主からみれば、例えば半導体設計大手英アーム買収のように、仮に買収額が現時点で割高であっても将来見通しが立つものであれば、利益率や資本効率が一時的に下がっても、将来を信じて我慢も・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます