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経済

トヨタ章男「私情人事」の滑稽

裸の王様と「茶坊主」だけの経営陣

2018年1月号

「どこをみても虎の威を借る狐と忠犬ハチ公の二種類しかいない、インチキ動物園」。グループ幹部の一人が吐き捨てる。
 トヨタ自動車が二〇一八年一月一日付で発足させた新経営体制。これまで四月が慣例となっていた役員人事を前倒しする形で実施、四人だった副社長を六人に拡充するとともに、六人の専務役員を退任させ、新たに五人を常務役員や系列会社社長から専務役員へと昇格させた。
「『勝つか負けるか』ではなく、『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている。『適材適所』の観点からベテラン、若手問わず高い専門性を持った人材を登用した」。社長の豊田章男はまるで「最高の布陣」とばかりにこう自画自賛するが、それとは裏腹に社内の評判は頗る芳しくない。

「忖度屋シゲちゃん」

 勘違いした狐の代表格と専らなのが、小林耕士だ。系列の自動車部品国内最大手、デンソー副会長を兼務のまま一六年トヨタの顧問に就任、一七年には同相談役となって今回、副社長に抜擢されたものだが、古稀一歩手前の御年六十九歳。この年齢での副社長就任が異例な・・・