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連載

本に遇う 連載217

戦争はある日突然に
河谷史夫

2018年1月号

 杞ノ国の住人となって年を越したような気分である。『列子』にいう。「杞ノ国ニ、人ノ天地ノ崩墜シテ、身寄スル所亡キヲ憂ヘ、寝食ヲ廃スル者有リ」。これが「杞憂」なる言葉の由来で、取越し苦労はよせ、考えなくてもいいことを考えるのはばからしいというのだが、北朝鮮とアメリカとの際限なき応酬や米軍と韓国軍による大規模な合同軍事演習を見聞すると、これではいつ戦争が始まってもおかしくないとの怯えを禁じ得ない。
 北朝鮮がミサイル実験をやるたびに、「圧力、圧力」と一つ覚えを繰り返す我らが宰相の顔をテレビで見るたびに、この男は戦争を欲しているのではないかと思えてならない。トランプが大統領に当選するや、まだ就任前なのにニューヨークへ飛んで行って「おめでとう」を言った「シンゾー」(と大統領に呼ばれるそうな)は、さながら座敷犬のごときであったが、こんどアメリカが「宣戦布告」でもしたら、「御意」とばかりちぎれるほど尾を振ることだろう。
 そうだとしても、先の総選挙で有権者は安倍晋三を政権担当者として選んだのであり、それが「民意」であったのだから致し方ない。そうなればこうなるものと知りながら、つ・・・