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WORLD

アマゾン川を破壊する「農業マフィア」

地球温暖化の裏に「中国マネー」

2018年2月号

 ブラジルは殺人事件の犠牲者が年間六万人近くで、世界で最も危険な国の一つだ。その国で、殺人発生率が最高の地方自治体が、アマゾン熱帯雨林の中央部に位置するマットグロッソ州のコウニザという市である。
 人口十万人当たりの殺人は百六十五件(ブラジル全体では二十九件)。人口三万六千人で、殺人は年間約六十人。一市で日本の年間他殺数(二〇一六年は二百八十九人)の五分の一以上に達する。
 昨年十二月、アントニオ・メンデス市長が殺害された事件では、黒のSUVに乗った三人組が、市長の車(収入役と家族も同乗)に発砲し、六十一歳の市長は猛スピードで逃げた。カーチェイスの末、市長は殺害。三人は間もなく検問にかかった。SUVのトランクから六万米ドルの新札束が見つかり、契約殺人であることが分かった。
 市長殺害の動機は未解明だが、熱帯雨林地方の殺人は土地争いや鉱山など各種利権にかかわるものだ。ヒットマンを雇うのは、農場主や鉱山所有者がほとんど。捜査が真の黒幕にたどりつくことはまずない。農場主たちは、地元政治家を抱き込んでいるからだ。

環境運動が世界一危険なアマゾン・・・