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WORLD

ISの新たな根城「サハラ砂漠」

残党たちがアフリカ大陸で猛威

2018年2月号

「(米兵たちを去年の)十月に殺害したのは、俺たちだ」
 今年一月十二日、モーリタニアのANI通信に、こんな犯行声明が出た。アフリカのサハラ砂漠全域で活動するテロリスト、アブ・ワリド・サハラウィの一味によるもので、この前日の十一日に、サハラ展開中のフランス軍を急襲した攻撃についても、「俺たちがやった」と犯行を認めた。
 世界的にはほとんど無名の、このテロリストは「サハラウィ(サハラの男)」という名の通り、サハラ一帯のイスラム過激派組織の指導者を自負している。
 二〇一三年一月に、アルジェリアのイナメナスで起きた人質拘束事件(日揮関係の邦人十人死亡)の主犯格、モフタル・ベルモフタルと同盟関係にあったこともある。一昨年にはテロ組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓った。IS側がこの際に公開したビデオでは、黒ターバンを頭と首に巻いた、冷酷そうな姿が映し出されていた。

テロ攻撃が増えた「サヘル諸国」

 サハラウィが犯行声明を出した米兵殺害事件は、昨年十月に起きた。ニジェールの農村部に展開中の・・・