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政治

「ミサイル防衛」の虚構に消える血税

高額装備「爆買い」で歪む自衛隊と財政

2018年2月号

 トランプ米大統領が「武器商人」よろしく、北朝鮮の「脅威」を奇貨として、安倍晋三首相にF35戦闘機やミサイル防衛(MD)システムの売り込み攻勢を掛けたことは記憶に新しい。おまけに、日本が武器を買う際に適用される米政府の有償軍事援助(FMS)は、値段も納期も米側の条件を丸呑みする不平等な取り決めだ。同盟国日本の防衛強化に資するという米国のお題目の裏には軍需ビジネスの腐臭がへばりつく。これは、首相だって百も承知だろう。けれども、北朝鮮の核・ミサイル開発を受けた対抗策は政権浮揚の絶好の切り札であるがゆえ、米トップのセールスに擦り寄っていく。
 二〇一八年度予算案の防衛費は、前年度当初比一・三%増の五兆一千九百十一億円と四年連続で過去最高を更新し、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」などMD増強が目を引く。備えあれば憂いなしと言わんばかりに、MDを拡充して他の装備にしわ寄せがくれば、国防が弱体化するという倒錯を引き起こしかねない。
「防衛費の増強はありがたいが、どうも目先の世論受けを狙った感は否めない。いわば弾道ミサイル対処の『自転車操業』で、いったい日本の国防の行・・・