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経済

《クローズ・アップ》坂井辰史(みずほFG次期社長)

傾く社業再建に向かない「堅物」

2018年2月号

「本当につまらない男」「クソが付くほど真面目」「面白味に欠ける」︱どこをどう引っ繰り返してみたところでそんな評価しか聞こえてこない。
 みずほフィナンシャルグループ(FG)の次期社長に傘下の証券子会社、みずほ証券社長の坂井辰史氏を起用することが決まった。「上がり」とみられてきた証券子会社トップからの本体返り咲きは異例中の異例。四月一日、正式に就任する。旧みずほコーポレート銀行(CB)頭取時代も含め、九年にわたってグループの「顔」を務めてきた佐藤康博社長は代表権のない会長に退き、証券社長の後任にはFG取締役兼執行役常務の飯田浩一・企画グループ長を充てる方針だ。
 坂井氏は金沢市出身で、一九五九年生まれの五十八歳。東京大学法学部卒業後、八四年旧日本興業銀行に入行。二〇一一年CB執行役員、一三年FG常務執行役員などを歴任後、一六年証券社長へと転じた。この間、企画部門や投資銀行部門、国際業務部門などを中心に歩み、昨年みずほ銀行頭取に昇格した藤原弘治氏(旧第一勧業銀行出身)や同じくみずほ信託銀行社長に就任した飯盛徹夫氏(旧富士銀行出身)とはほぼ同年代。二〇〇〇年のグループ発足・・・