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経済

《地方金融の研究》浜松信用金庫

静岡再編劇の「仕掛け人」

2018年2月号

 静岡県に「信金再編」の嵐が吹き荒れている。昨年九月に浜松信用金庫と磐田信用金庫、しずおか信用金庫と焼津信用金庫がそれぞれ相次いで合併を発表。同十一月下旬には「日本最古の信金」として知られる掛川信用金庫も島田信用金庫との合併を表明した。実現すれば現在十二金庫がひしめいている県内信金は九金庫に集約される。地元金融筋の間では「まだまだオーバーバンキング。静岡、スルガ、清水、静岡中央と四行ある地銀も含めてさらなる合従連衡もあり得る」との観測がしきりだ。
 一連の再編劇の「事実上の仕掛け人」(事情通)とされているのが浜松市中区に本店を置く浜松信金、通称・はましん―だ。二〇一七年三月期末時点で預金量一兆六千六十三億円、貸出金残高八千八百六十八億円とともに県内首位。預金量は唯一、一兆円を超える。
「県信金業界は〇八年一月の沼津信用金庫による駿河信用金庫の吸収合併を最後に、十年近くいわば無風状態が続いてきた。しかも浜松市を中心とする県西部地区には競合相手となる地銀の本店がなく、域内でのはましんの存在感は抜群。そのはましんでさえ合併に踏み切るのだから、他はもう『待ったなし』とばかり・・・