三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

「演歌」は死滅するのか

「ニッポンの心」の儚い未来

2018年2月号

 演歌はニッポンのこころ―。その「こころ」に触れる機会はとみに減っている。多くの日本人が一年で最も演歌を聴くであろう大晦日のNHK紅白歌合戦。年々演歌歌手の出場枠が減っており、昨年も前年比一減の十一人となってしまった。これについて、北島三郎が「時代の流れを感じる」と語り、ジャニーズ事務所の社長は「(演歌の減少が)視聴率低迷の原因」と批判したという。
 特に二〇一〇年代に入って以降、演歌の衰退が顕著になっている。今後、演歌はどうなるのか。実は、それを知るためには、前提条件である「演歌はニッポンのこころ」という命題の真偽を問わなければならない。
 結論から言えば、現在のようなある種の曲調を持った歌を「演歌」と呼ぶようになったのは一九六〇年代からで、最終的には藤圭子のブームを経て、七〇年前後にジャンルとして定着した。あたかも「歴史」や「伝統」があるかのように取り扱われる演歌だが、実際には生まれてからまだほんの半世紀程度しか経っていない。
 この事実を詳細に検証した『創られた「日本の心」神話』の著者で大阪大学准教授の輪島裕介氏は、こう語る。
「商業音楽と・・・