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経済

三菱UFJ「平野専横」の陰鬱

企画畑人材「掃討」が残す禍根

2018年3月号

 メガバンクのトップ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で、一人の男の専横がまかり通り始めている。同グループ社長の平野信行氏だ。早くも、長期政権化の噂も根強く流れて、その暴君ぶりを懸念する声が内部から漏れ出している。
 二月五日夕刻、MUFGの証券持ち株子会社である三菱UFJ証券ホールディングスと、その傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券のトップ交代の記者会見が開かれた。首位を行く金融グループの中核証券会社にして、銀行系証券トップ。証券業界全体では第二位の大和証券に肉薄する立場にもある。その社長交代人事であったにもかかわらず、お世辞にも会見は盛り上がったとは言えない、底冷えがするような内容だった。
 会見では、四月一日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券副会長に退く長岡孝社長が「クロスボーダーM&Aのアドバイザー業務でリーグテーブルトップ」という実績を誇った。三菱東京UFJ銀行(BTMU)副頭取から同社社長になった荒木三郎氏は「MUFG協働に注力」と強調。グループ一枚岩経営を前面に押し出した格好だが、座は白けるばかりだった。

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