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経済

調剤薬局「大淘汰」が始まる

大手チェーンばかりが栄える「裏事情」

2018年3月号

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)の二〇一八年度の診療報酬改定を巡る答申が波紋を呼んでいる。個人経営の調剤薬局の薬剤師が主導する業界団体「日本薬剤師会」(日薬)と自民党族議員の禁秘の癒着を背景に「急伸する大手調剤薬局に対する狙い撃ちだ」(業界誌記者)との受け止め方が広がる。だが、実はその裏側で、今回の改定により、同じ調剤でも大手の方が個人経営よりも廉価となる仕組みが導入される内実は隠匿されている。日薬が大手叩きを目論んだ改定は、あに図らんや大手への思わぬ追い風となり、個人薬局大淘汰への引き金になりそうだ。
 日本では病院で処方箋を受け取り、院外の薬局で薬を受け取る「医薬分業」が定着した。厚労省が推し進めたこの分業体制の結果、全国に調剤薬局が広がり、その数は五万八千六百七十八カ所(一六年度)に及ぶ。これは、コンビニの五万五千三百二十二店を凌駕する。調剤薬局の七割は個人経営で、残り三割は二十社ほどの大手が占める。大手のほとんどは病院のそばに店舗を構える「門前薬局」で、最近は大学病院などの門内薬局にも進出する。

日薬・薬系技官・自民党の結託・・・