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経済

大阪ガス「首都圏進出」の深層

東電・中電との「三社連合」結成へ

2018年3月号


 満を持してと言えば語弊がある。巣穴から首だけ出して周囲を窺う鼠さながら、千思に万考を重ね、用心深く下した決断なのだ。
 DAIGAS―。大阪ガスは四月、略称の「大ガス」にちなんだアルファベット六文字の企業ブランドを新たに導入する一方、中部電力と首都圏における電力・ガス販売会社を折半出資で設立する。“脱大阪”を象徴する企業ブランドは、首都圏進出に賭ける大ガスの決意の表れであり、それは二月二十七日、三月八日の一連の戦略発表で明らかになる予定だ。
 しかし、わが国のエネルギー市場を一気に流動化させた福島第一原発事故から七年、多くのエネルギー企業が最大需要地の首都圏へ打って出た中で、大ガスは容易に動かなかった。従来、大ガスは中電と国内のガス導管敷設や米国のシェールガス調達で協力し、親密な関係にある。両社の連携による首都圏進出は既定方針と言われながら、なぜ実現が遅れたのか―。ある電力関係者が囁いた。
「大ガスの首都圏進出は、役所が組み立てるエネルギー再編パズルの重要なピース。すべては来年秋に向かって動いている」
 二〇・・・