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中国「習=王」独裁体制の弱点

権力「過剰集中」の弊害と限界

2018年4月号

「習近平独裁」で染め上げられた三月の全国人民代表大会(全人代)。習近平国家主席は、投票総数二千九百七十票のすべて賛成で、再選を果たしたのは周知のとおり。
 副主席には、昨年十月の第十九回党大会で党中央政治局を去った習主席の盟友、王岐山・前党中央規律検査委員会書記が選ばれた。反対が一票あった。反対を投じたのは王岐山氏自身だろう。習近平主席の満票を際だたせ、主席への忠誠心を示すためだ。副主席の得票数まで事前に仕組まれていたことは疑いない。
 国家主席選出は「習近平の新時代」を飾る重要な儀式だ。習近平主席が投票用紙を手にステージ中央に置かれた投票箱に向かって歩く間、伴奏音楽に合わせて会場から手拍子が起きた。当日、北京では季節はずれの雪が舞った。春の雪は「瑞雪」と呼ばれる吉兆だが、北京市当局が降雪機を使って降らせた人工雪だったことが後に、香港紙の取材で判明した。そこまでして習近平主席の権威を作ろうとしている。中国は前近代的な習近平独裁体制に突入した。西側各国では中国を見る目が変わり、中国脅威論がにわかに高まった。

憲法優位から共産党優位へ・・・