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政治

在韓米軍「撤退論」と日本の危機

南北と米朝の融和で始まる「悪夢」

2018年4月号

 米国からの愛を求めて恫喝する北朝鮮外交の核心が具現化してきた。彼の国は度重なる核実験、弾道ミサイル発射の果てに昨年十一月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射成功で「核武力完成」を宣言。平昌冬季五輪を奇貨として、韓国を媒介に米国との対話路線へ転じた。だがトランプ米大統領、いや誰が大統領であろうとも、北朝鮮の核・ミサイルの危険が米国にさえ及ばなければ構わないだろう。
 一方、北朝鮮は「非核化」を議題としながら、米国からの体制保証を希求し、その担保として在韓米軍の撤収を突きつけてくるのは確実だ。そもそも米国は二〇〇一年の米同時多発テロ後、自国防衛へ傾斜すると同時に、北東アジアの米軍を縮小し、相手の攻撃を受けにくいハワイやグアムへ部隊を後退させている。米朝対話が進展して在韓米軍の撤収が現実味を帯びると、この大きな潮流は日本にも押し寄せて、在日米軍の大幅な縮小へ波及する公算が大きい。米朝関係の進展は日本の危機に直結し、日米同盟の真価を根幹から問う劇薬になるのだ。
「日本と米国がしっかりと連携しながら、さらには日米韓、国際社会と共に高度な圧力をかけ続けてきた成果・・・