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経済

トヨタ下請け「残酷物語」

値下げ強要と「廃業ラッシュ」の責め苦

2018年4月号

「今度は電動化への対応のためときた。次から次へと手を替え品を替え、コストダウンの理由を探してくるものだ」と、トヨタ自動車と取引がある部品メーカー幹部は苦笑する。トヨタは一次部品メーカーに対して、二〇一八年度上期(四~九月)も前下期(一七年十月~一八年三月)に引き続き、部品調達の値下げ要請を通告した。値下げ幅は前下期と同じ一%程度だが、二次以下の部品メーカーには同等か、それ以上の値下げ圧力がかかってくる。
 とはいえ、二次、三次の中小・零細メーカーも人手不足で賃金が上昇し、省力化のための設備投資にも「トランプ米大統領の米国第一主義と大型企業減税で、米国への生産移転が進む可能性がある。トヨタの調達担当者も国内生産の維持を確約しているわけではない。これから仕事が減るかもしれないのに、積極的な投資などできない」(トヨタ系下請け企業関係者)と、二の足を踏んでいる。
 値下げに難色を示すと「親会社に帳簿まで閲覧され、『まだコストを下げる余地がある』とねじ込まれる」(同前)始末。トヨタからの「値下げ要請」は、実質的に「値下げ命令」なのだ。トヨタは一一年度下期に「急激な円高で業績が・・・