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経済

三菱UFJ「法人融資統合」の冷酷

顧客離反とグループ不和を招く愚挙

2018年5月号

「小賢しい真似をしやがって!」
 都内に本拠を置く中堅デベロッパーの財務担当者が声を荒らげる。
 今年四月十六日を期して三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)を舞台に断行された法人融資部門の全面統合。傘下の三菱UFJ信託銀行が抱えていた残高約十二兆円にのぼる法人向け融資を、約二千六百社の取引先とともに三菱UFJ銀行に移管させたもので、二〇〇一年のグループ結成以来の大改革。マイナス金利政策など異次元緩和の長期化で収益性が伸び悩む中、「傘下各社を機能別に再編・集約して効率化を高める」(平野信行MUFG社長)のが狙いとされている。
 ところがその直後、このデベロッパー会社に舞い込んできたのは「ほとんど一方的」(関係者)ともいえる、三菱UFJ銀からの貸出スプレッドの引き上げ通告だった。
 不動産開発には長期の資金が必要不可欠だ。このため同社では長年にわたり、商業銀行よりも信託銀行にウエートをおく資金調達戦略をとってきた。三菱UFJ信託もその主要借入先の一つ。それが今回、三菱UFJ銀に呑み込まれたことによって同行への融資依存度が一気に上昇。この時を・・・