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経済

ゴールドマン・サックスに異変あり

輝き失せた「持田時代」は終焉へ

2018年5月号

「あんなことは我々には真似できない」
 日本の大手金融機関幹部等をこう嘆かせたのが、昨年十一月十九日、東芝が発表した六千億円にものぼる巨額増資だった。この増資をやってのけたのが米大手金融機関「ゴールドマン・サックス」(以下GS)だ。
 GSがまとめ上げたのは「第三者割当増資」。東芝が発行する普通株をおよそ六十余りのファンドにはめ込んでいった。一筋縄ではいかない海千山千のファンドから“カネ”を出させたGSの手腕の前に、日本勢はため息をつくしかなかった。GSが手にした手数料はおよそ二百億円。二〇一六年十二月期の同社純利益が二百二十一億円。つまり、ワンショットでそれに匹敵する利益をたたき出したのだ。
 国民的な関心事、東芝の行方を左右する突然の増資。当然、新聞、テレビはトップニュースでこの増資を報じた。しかし、反応は静かなものだった。さらに驚かされたのは、二百億円もの手数料を稼ぐGSへの批判の声がほとんどあがらなかったことだ。リーマンショック(〇八年)以前、GSはまさにグローバル経済の覇者であり、“強欲”資本主義の・・・