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バルト三国を「見捨てる」NATO

ロシアからの防衛で「同盟の限界」

2018年7月号

 ロシアに対する、北大西洋条約機構(NATO)軍の新しい防衛線は、バルト三国ではなくポーランドまで引く―。こんな新戦略が、NATOの最新のシナリオから明らかになった。
 NATO加盟国バルト三国は切り捨てられる形になる上に、ポーランド軍にはロシア軍侵攻を食い止める役割が求められることになり、各国で緊張が高まっている。

特殊部隊は「レジスタンス訓練」

 新シナリオが鮮明になったのは、今年六月に「NATOの東部戦線」で行われた恒例の軍事演習、「サーベル・ストライク」だ。二〇一四年に起きた、ロシアのクリミア併合以降、この軍事演習は、「ロシア侵攻への備え」をPRしてきた。
 ところが今年は、派手な攻撃演習に代わって、米軍を中心にした特殊部隊が主役になった。
 米陸軍「グリーン・ベレー」や米海軍「SEALs」といった精鋭部隊が、ポーランド東部の秘密の小村に特殊工作基地を設けた上、隠密裏にリトアニア、ラトビア、エストニアに潜入して、ロシア軍に対するレジスタンス(抵抗)運動を組織する、というの・・・