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呪われた外務省「ロシア・スクール」

対露外交「崩壊」の無惨な裏事情

2018年7月号

 日露平和条約交渉の難航に苦慮する安倍晋三首相が遂に、無人島の歯舞一島だけの引き渡しを求める「一島返還」に傾斜した。
 すると、外務省の毛利忠敦ロシア課長(四十九歳)が首相を諫めた。
「一島だけなら、国民の心が折れてしまいます。国後、色丹、歯舞の三島なら、国民は結束し、政権も安泰でしょう」
 これは、関係者の一部でささやかれるジョークだが、毛利元就の有名な「三本の矢」の遺訓に基づいている。六月初めに不適切行為で停職九カ月の懲戒処分を受け、更迭された毛利氏は、毛利元就直系の名門出身。長州の安倍家はもともと毛利藩家臣であり、世が世なら立場は逆だった。安倍首相はその毛利氏を可愛いがり、「殿、殿」と呼んで親密だったという。
 神戸大学客員教授も務める毛利氏は、何本も論文を執筆しており、その中に、北方領土問題の解決策は中露国境交渉をモデルに、相互信頼に基づき段階的に取り組むよう提唱した論文がある。中露は二〇〇四年、秘密交渉を経て、アムール川の中州の係争地を折半にする超法規措置で合意しており、毛利氏の持論も面積折半に基づく「三島返還」だったようだ。しかし、優・・・