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政治

止める者なき防衛予算「乱費」

「陸上イージス」導入の不埒な裏側

2018年7月号

「わが国を射程に収める数百発の弾道ミサイルが存在している事実から目をそらすことはできない。国民を守るために真に必要な防衛力は、今後も強化を図っていく必要がある」
 安倍晋三首相は米朝首脳会談後の国会質疑で、弾道ミサイル防衛(BMD)のための地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を予定通り配備するかを問われ、こう言い切った。確かに北朝鮮の動向は予断を許さず、備えあれば憂いなしだが、本当に必要なのか。あの独裁国家が融和的な姿勢に転じたのだから、イージス・アショアは不要、と言いたいのではない。問題はその費用対効果に帰結する。この新たな装備の導入に突き進む光景には、日本の杓子定規な防衛政策と予算の急所が凝縮されているのだ。
 イージス・アショアは、その名の通り、米国製イージス艦搭載のレーダーやミサイル発射装置を地上に固定して迎撃するBMDシステム。日本は海上自衛隊のイージス艦に搭載する海上配備型迎撃ミサイルと航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の二段構えの態勢を取っており、イージス・アショアはこれを補完するというのが触れ込みだ。運用するのは陸上自衛隊で、そ・・・