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経済

米「社債バブル」という時限爆弾

日本も襲われる「次の金融危機」

2018年7月号

 あの金融危機からまもなく十年が経とうとしている。どこかにブラックスワン(めったに起こらない経済危機)が潜んでいないか。警戒を緩めてはならない。
 本誌で報じてきたサブプライム自動車ローン、学生ローン、クレジットローンなどの信用バブルで起こっている問題は、確かに懸念すべき事象だが、マクロ全体としてみれば規模が小さい局地的なものだ。危機の震源地の可能性として、見落としているものがある。ゴルディロックス(適温)経済の中で、安い資金調達の中毒に冒されている米国の大手企業がそれだ。時限爆弾はすでに作動しており、その時を待つのみだ。運用難の投資家がまず直接的被害者となる。

相当ジャンクなBBB格債

 米国の企業債務は急増している。昨年末時点でGDP比七三・一%に達した。中でも社債による調達の増加が著しい。投資会社ディールロジックによると、社債の新規発行額は昨年一・七兆ドルを記録し、今年は〇・五兆ドル増加する見込みだという。二〇〇八年には米国の非金融法人企業の社債市場規模は二・八兆ドルだったが、現在は五・三兆ド・・・