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政治

地に堕ちた日本人の「道義」

武者小路公秀(国際政治学者)

2018年7月号

―「世界平和アピール七人委員会」が安倍内閣の退陣を求めました。

 武者小路 声明文の通り、「日本人の道義が地に堕ちた」ことが最大の罪だ。安倍晋三首相の「森友・加計問題」はもとより、日本相撲協会や日本大学アメリカンフットボール部の問題にも、同じ構図がある。当事者が形式上は謝罪しながら、自分が悪いことをしたとは認めず、肝心の問題でウソを突き通す。日本企業の不祥事も同様だ。
 安倍首相は、自分は賄賂をもらっているわけではないから、別に責任はないと言う。麻生太郎副首相兼財務相は、失言しても撤回、おわびをすればよいとの姿勢だ。日本は、ウソを平然と並べる国になってしまった。日本人の道義失墜は国際的な恥さらしになりかかっている。「これ以上がまんできない」というのが私たちの動機だ。

 ―安倍首相のどこが問題ですか?

 武者小路 個別の政策ではなく、政策を作り出しているスタイルが問題だ。首相は「官邸主導」として、独断専行をしている。日本はウェストミンスター(英国・・・