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中国輸出産業界の「顔面蒼白」

貿易戦争で「大量死」の憂き目に

2018年8月号

 三月に口火が切られた米中貿易戦争は鉄鋼、アルミニウムを対象にした〝局地戦〟から、七月六日には相互に三百四十億ドル相当の輸入品への上積み関税の適用へとエスカレートした。すでにトランプ政権は九月以降に対象を二千億ドル相当にまで広げる準備を進めている。米中とも傷を負う「勝者なき戦い」といわれるが、中国が受けるダメージが先行し、貿易戦争前から下降線をたどっていた中国経済の足をふらつかせつつある。企業倒産、銀行破綻、株価暴落という三つの危機が中国経済に猛スピードで迫りつつある。

家電メーカーに迫る「ショック死」

 中国内陸の湖南省常徳市。五百八十万人と人口規模だけは大きいものの平凡な地方都市で、平時は全国の話題に上ることもない。そんな街が七月、中国中央の指導部に注目された。
 常徳市政府のトップが、地元の銀行の行長(頭取に相当)を緊急招集し、市政府傘下の投資会社の借入金の返済猶予に応じるよう求めたからだ。そのやり方が尋常ではなく、「返済猶予に応じなければ、市の公安(警察)が集めた金銭、女性にかかわるスキャン・・・