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経済

伊藤忠は「商社首位」に返り咲けるか

ユニファミマTOBめぐる臆測

2018年8月号

 どうも釈然としない、そんな空気が証券市場に漂っている。
「実は去年、ある人から『一緒にファミリーマートを子会社化しないか』と提案されたんや」
 伊藤忠商事の岡藤正広会長は五月二日、二〇一七年度決算の発表会見の席上、こう言い訳をしていた。話は言うまでもない、現在進行中のユニー・ファミリーマートホールディングスのTOB(株式公開買い付け)である。伊藤忠は持ち分法適用会社であるユニファミマの出資比率を、現行の四一・五%から五〇%超に高めて子会社化する。一株当たり一万一千円で追加取得する資金は上限一千二百億円と巨額だ。
 総合商社によるコンビニエンスストアの子会社化は、ローソンに実施した三菱商事に次ぎ二件目。しかし、岡藤氏は当初、「商社的発想でコンビニ経営はできへん」と三菱商事を揶揄し、子会社化に否定的だった。それが一転TOBに踏み切った理由を、“ある人”からの買収に対する防衛策であることを匂わせたのだ。後にその人物はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長と判明するが、岡藤氏にとって孫氏は社外取締役就任を要請されるほど友好的な間柄である。・・・