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世界最強・米軍の「残念な真実」

「部品・整備士」不足で戦闘不能の惨状

2018年9月号

「私は軍を再建し、防衛支出の凍結を解除して、米国史上最大級の防衛支出増加を求める予算を議会に提案する」―。
 これはトランプ米大統領が昨年の三月一日、初の議会演説で強調した一節だ。それから一年半以上経った現在、「米国史上最大級の防衛支出増加」は実現したかもしれない。だが、「再建」の先行きは不透明で、むしろ危機的状況が進行中というのが正確に違いない。
 トランプ米大統領が八月十三日に署名した二〇一九会計年度の国防予算の枠組みを決める「国防権限法案」では、一一年以降「最大級」の七千百七十億ドルという予算規模となっている。そこで目立つのは高額兵器の調達ラッシュで、フォード級新型空母やヴァージニア級攻撃型潜水艦(二隻)をはじめ、空軍・海兵隊用のF35(七十七機)、海軍用のF/A18E/F戦闘爆撃機(二十四機)の調達、次期戦略爆撃機B21の開発費支出等々、オバマ前政権を上回る大盤振る舞いだ。
 とかく軍事に疎い大統領は、高額兵器を買い込めば軍の「再建」につながるとでも考えているのだろうか。だが米軍が直面する危機とは、史上最強の軍事力を支える産業基盤が大きく弱体化して・・・