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政治

「公務員定年延長」で 悩める自治労

官邸主導の法案巡り「路線対立」

2018年9月号


 政府が公務員の定年年齢引き上げへアクセルを踏み始めた。大号令をかけるのは、安倍政権で霞が関を実質的に支配する菅義偉官房長官。その足元では、来年の通常国会に関連法案を提出し、二〇二一年度から段階的に六十五歳へ引き上げていく準備作業が着々と進められている。これに最も苦渋の色を浮かべるのは野党側の支持母体である自治労や公務員労組の幹部たちだ。賛成か反対か。対応を巡る路線対立が、組織のさもしい現状を浮かび上がらせる。

菅にとっての「勝ち戦」

「定年延長は少子化が進んでいくなかで人材をどのように活用していくか、官民に関わる大きな課題だ。しっかり努めたい」。首相官邸の一室で八月十日、一宮なほみ人事院総裁から定年延長を求める意見書を受け取った安倍晋三首相は、丁重に言葉を紡いだ。
 判事出身の一宮は一四年四月、「女性活躍」を掲げる第二次安倍内閣の抜擢人事の一環で初の女性人事院総裁に就いた人物。「とりわけ強い独立性を与えられた行政機関のトップという立場ながら、安倍政権に寄り添う姿勢が目立つ」(大手紙デス・・・