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経済

関西電力の「属国」と化す大阪ガス

「原発再稼働」で抵抗の術もなく

2018年9月号

 八月二日、公正取引委員会は、大阪ガスへの立ち入り検査に踏み切った。理由は客を不当に囲い込んだ独占禁止法違反容疑だという。エネルギーの全面自由化に水を差すこのような行為は撲滅されてしかるべきだが、額面通りに受け取るエネルギー業界関係者は少ない。「間違いない。関西電力のリークだ」。大ガス関係者は机を叩いて悔しがる。
 大ガス関係者が指摘する通り、公取委が動いたのは関電のタレ込みとみてほぼ間違いない。関電はこれに先立ち、大ガスから先制攻撃を受けていたからだ。
 公取委の立ち入り検査に隠れて目立たなかったが、同じ日にあるエネルギー企業が電力・ガス取引監視等委員会から、顧客に対する違約金の説明が不十分だったとして業務改善の勧告を受けている。その企業とは、新電力大手のF–Power(エフパワー)。新電力とは名ばかりで、実体は関電のマリオネットのような存在にすぎない。
 関電はエフパワーに電力を供給しているほか、公共案件の獲得などで秘密裏に共闘している。このエフパワーが改善勧告を受けるきっかけとなったのが、ほかでもなく大ガスの密告だったというのだ。これに対・・・