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沖縄米軍が「撤退」する日

もはや日米同盟も「聖域」ではない

2018年9月号特別リポート

 沖縄県知事選は九月三十日に行われる。争点は一つ。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を支持する候補と、これに反対する候補の一騎打ちだという。うんざりする段階は通り越して「勝手にしろ」というのが米関係者の感情だろう。何しろ普天間基地の返還と移設は二十二年前に橋本龍太郎首相がクリントン大統領に要請し、実現した話である。この間にいかなる人物が介入し、最高指導者に常識外れな発言をする者が出たか、移設賛成を言いながら、本心はそこになく、工事実行、移設完成をなるべく将来に延ばし、その間に那覇による東京との「外交交渉」が有利になるよう謀ったりする知事が何をしたか、しなかったか。
 国際情勢は激変の最中だが、日本全体に緊張感は全くと言っていいほどない。去る七月のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席したトランプ大統領は、加盟諸国とりわけドイツの防衛分担不足を強く責めた。国内総生産(GDP)の二%を支出する約束を下回る一・二四%で済ませているドイツをなじった背景には、国防を米国に依存しつつ欧州第一の経済大国になり、社会保障制度を充実させて平気でいる、この国に対する米国民大半・・・