三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

日本はプルトニウムをどうするのか

内憂外患の「核燃料再処理事業」

2018年9月号

まさしく極刑を思わせる報道ぶりである。ある原子力関係者はこうつぶやいた。
「まるで石打ちの刑だ……」
“石打ち”とは、下半身を生き埋めにした罪人に、周囲から拳大の石を多数投げつけ、死に至らしめる古代オリエントの処刑方法。その執行は酸鼻を極め、あまりにも残酷であることから、現在はほとんど行われていない。が、イスラム世界の一部では姦通の罪に限って執行されているという。
 わが国には古来、このような嗜虐的な刑罰の慣習はなかった。しかし、日米原子力協定が自動延長された七月十七日の前後から、メディアは“石打ち”さながらの苛烈さで、同協定が認めるわが国の核燃料サイクル、すなわち原発の使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理事業を攻撃し始めたのだ。日経、朝日、毎日の各紙と共同通信が異口同音に発する論調は次の三点に集約できる。
 曰く、①日本は原爆六千発に相当する約四十七トンのプルトニウムを保有している、②国際社会は非核保有国で唯一日本に認められた再処理に強い懸念を抱いている、③自・・・